唯紫論

2010/8/18 Wednesday

今や誰も止めるは不可能(第13節〜第18節)

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さらばJ1、と早めに挨拶しておいてもよいだろう。完全にドツボにはまったサンガには、巻き返しの力は残っていない。それどころか、もう誰にも、何をやっても、この流れを止めることは出来ないだろう。フロントの愚かな判断のおかげで来期以降にさえ暗雲が垂れ込めている。これほどまでに夢も希望も無い状態というのは2003年以来か?
 

加藤政権の最期

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中断明け、変則日程のため第11節となるG大阪戦から再開。
ディエゴをセントラル、ドゥトラをWG、両SBに渡辺・中谷を置く思い切った攻撃的配置。好調だったナビスコでの3バックを継続すると思い込んでいただけに面食らった。しかし、形が攻撃的だからといってそのまま機能するわけもなく…。ただ、G大阪も低調で1点を取り合って分ける。

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第13節湘南戦。
メンバーは同じだがフォーメーションは「いつもの」感じに戻る。試合通じて京都の攻勢。シュートも打ちまくるが、崩しきれておらず、ほとんどが相手DFの手前からのもの。そして、何気ないクロスからマーキングミスを犯し失点、終了。それまでに得点できなかったのが全て。これにて最下位転落。

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第14節川崎戦。
ここに来てナビスコでの形、3-4-3(というより5-2-3)に。当然、守勢に回りカウンターを狙うが鋭さに欠ける。守備は粘りを見せていたのだが、終了間際にこの試合が復帰戦だったジュニーニョに決められ終了。ジュニーニョと川崎サポにお膳立てをしただけのような試合。
 

この試合の後、加藤監督は解任。約2年半続いた加藤政権に幕が降ろされた。なぜか正式に発表されていないが、チーム統括の立場からも外れる模様。結局、最後まで「人を集めた」という所から動けないまま終わってしまった印象で、非常に残念。

自分は解任自体に異議があるわけではない。上記見ても分かるように、典型的なバタつき・迷走といった感じで、ここまでの成績も含め、切られるのは当然の流れだろう。しかし、タイミングや後任の人選を考えるに、あまりにも雑で、稚拙で、刹那的で、近視眼的な人事だと言わざるを得ない。
 

成長しないフロント陣

まずはタイミングの異常さ。
1ヶ月の中断期間には一切動かず、中断明けから3試合見ただけで解任。湘南戦での負けが契機となったとの報道も見たが、それならば僅か2試合という事になる。そもそも、勝ち点同じで順位が一つ下の相手に負けることに、いったい何の不思議があるのか。
また、この状態から残留を目指すためには勝ち点1も無駄にできない、勝ち点1が明暗を分ける、などと言う事は馬鹿にでも分かるはず。にも関わらず、平日開催が立て込んでいるこの時期での監督人事。結果、7月25日に第14節、27日に監督交代、翌28日に第15節という滅茶苦茶なスケジュール。第16節も中3日後であり、確実に2試合はドブに捨てたという印象。

そして何より人選だ。
よほどの名監督を捕まえたということなら、とにかく早く代えてしまえというのも分からなくはない。しかし、ご存知のとおり、新監督に就任したのは、前コーチの秋田氏。監督経験のない新人の内部昇格に、何の期待をしての性急な人事なのか、全く理解不能。

2006年の事をもう忘れてしまったのか。あの時も残り9試合という異常なタイミングで監督交代を行い、内部昇格により監督経験の無い美濃部氏が新監督に就任した。今回の件と酷似している。
その後チームはどうなったか。流れは全く変わらず、1勝もできないまま、交代時16位だったチームは最下位でシーズンを終えた。順位は上がるどころかむしろ落ちたのである。

そして、未来の事も酷似するのではないかという危惧がある。
美濃部氏は降格後も続投。1勝もできなかった監督を続投させる思い切りに、一瞬フロントを見直したりもしたのだが、結局そのシーズン終盤のもたつきの際に首を切った。長年掛けて育ててきた生え抜きの監督を1シーズン勤め上げることも許さずに追放したのだ。現在、氏は徳島にてそこそこの成績を収めている。来期おそらく対戦することになるだろうが、フロント陣は「使い捨てた」愚かさを感じてくれるだろうか。

さて、それに対して秋田監督である。フロントは今期の残りだけではなく、なぜか来期いっぱいまでの契約を結んだ。今期の成績に関わり無く続投することが既に決定されている。
ここで考えるべきは、美濃部氏の場合は監督初年に9試合しか無かった事がむしろ幸運であったということだ。0勝4分け5敗という成績なら許容範囲かもしれないからだ。
しかし秋田監督は違う。20試合ある。仮に0勝10分け10敗という成績だった場合、続投は許されるのか。もっと悪かった場合、リーグワースト記録を続々と更新していった場合、どうするのか。今までの振る舞いから考えて、フロントが彼を守りきるとは思えない。シーズン終了後にあっさり解任するだろう。コーチ再降格はあり得ない。彼とはそこでおさらばだ。
そして、我らがクラブは「初のW杯本戦出場者、しかも現役最後の場として選んでくれた功労者を、たった半年で使い捨てた愚か者」という汚名を授かる事となる。その後、経験を積み、どこかで成功を収める秋田監督を見て歯噛みする事になるのではないか。
この最悪の未来予想図を覆すためには、奇跡の残留を成し遂げるか、降格するにしても終盤にある程度の成績を残し、そして1年で再昇格させる(しかも一貫した好成績で)という形しかない。どちらも困難極まるミッションだ。

これほどの厳しいギャンブルに、フロントは勝てると踏んでの人事なのか? いや、絶対そうではない。何も考えていない。監督人事に関しては、現状維持が最優先。それでいながら、少しでも逆風が吹けばあっさりと首を切る。「ノルマは果たしたが将来を考えて契約満了とする」とか、「現時点の成績は最悪だが将来の好転を信じて続投させる」とかいう判断は絶対にしない。1年後のことさえ考えない場当たり的保身。それによって失われた金や人的資源は計り知れないものがある。

さかのぼって考えるに、2008シーズン終了後に突然行われた契約延長が最大の過ちだった。
J1昇格後の最初の契約では2009シーズン終了までという契約。つまり、今期は新監督を迎え、加藤氏は円満にチーム統括に集中するという事が出来ていたはずだったのだ。
しかし、フロントは1シーズンを見ただけで性急に契約延長、2011シーズン終了までの契約を決めてしまう。チーム統括の職に至っては2015年までという長期契約。当時危惧したとおり、結局は違約金の額を増やす事にしかならなかった。
どういう経緯で契約延長の判断に至ったのかは分からないが、その責任者たる当時の社長、現会長の梅本氏は、何らかの形で責任を取る必要があるのではないか。また、今井現社長についても、前任者のやった事だから、で済まされるべきではないはず。
 

秋田政権、最悪の船出

さてその後、秋田監督が就任しチームは変わったか。
…まあ、そんな簡単に変わるなら苦労しない。基本的にはこれまでの路線を引き継いでいる。準備期間がないだけに引き継がざるを得ない。守備はリトリートして蓋をする守り方。攻撃はディエゴ・ドゥトラの個の力に頼る形。フォーメーションはいまだ手探り状態。
メンバー選出の部分では、水谷がスタメン復帰し、加藤弘堅・中村充孝といった若手の起用が増え、中山もスタメンに復帰しつつある、という感じ。

問題は「空気を変える」事に失敗している点。内部昇格なので当然といえば当然。むしろ悪くなっているくらいだ。選手達は過緊張状態で、失敗を恐れ、失点を恐れ、ボールロストを恐れ…。結果、安全な場所へギクシャクとボールを回すばかりでまるで攻撃にならない。最終的に「安全な場所」へ受けに来たディエゴかドゥトラが、人数の揃っている相手守備陣に無理に突っかけ、そこでボールを失って守備に回る。開幕当初のパスワークはいったい何処へ消えたのか。置かれている環境から、そういった心理状態になるのは仕方の無い事なのかもしれないが、あれでは戦う前から勝ち目が無いのは見えている。そして、秋田監督には、いわゆるモチベーターとしての才能はなさそうだと言わざるを得ない。

就任後2試合は先述したとおり、準備も何も無い捨て試合。無闇に混乱しただけで、順当に大敗。特筆すべきこともない。
続く第17節新潟戦は例のギクシャクの極致といった状態。加えて、信じがたいポジショニングミスから失点し、その後相手に退場者が出たため、最も苦手なパターンとなってしまった。押し込むも後一歩で得点にはならず、逆にマルシオ・リシャルデスにCKを直接ねじ込まれ(記録上はオウンゴール)試合終了。試合終盤には、ドゥトラに代えて森下を投入し、カク・テヒを前線に上げる珍采配も。ベンチには柳沢もダンもいたのだが…。

そして直近の第18節C大阪戦。ここでようやく秋田監督の目指す形が見えてきた。クサビで入れたボールをシンプルに落とし、そこから大きくサイドチェンジ、というパターンが繰り返されていた。
全体で見てもギクシャク感が薄れ、カウンターのキレも悪くなかった。中断明け以降の試合では最も良い内容だったかもしれない。ただ、やはり終了間際、家長の一撃を食らい敗戦。家長の技巧もあった失点なのだが、ここでもまたポジショニングが微妙に甘かった。

前半戦の失点は不運な所も多く、問題は得点が取れない事だと考えてきたが、ここにきて本格的に守備が崩壊し始めている。以前からの中盤の緩さを別にしても、DF陣に起因する失点が増えてきており、これは由々しき問題だ。特にカク・テヒは代表でちょくちょく抜ける事が影響しているのか、まるで連携が取れていない瞬間がある。ただ、カク・テヒを外しての3バックの形でもおかしな事は起こっており、外せばいいという問題ではなさそう。これも心理面での悪循環が引き起こしているものなのかも知れないが、微妙なズレのようなものを修正するのは時間がかかりそうだ。

また、後半に失点が集中する問題を、秋田監督は体力面での問題と捉え2部練習を増やしたりしているのだが、果たしてそうだろうか。結果としてスタミナ切れなのは間違いないが、根本原因はボール保持ができず攻撃機会が少なく、守備に走り回っている時間が長いから、という事だろう。ただ、秋田監督もそのあたりは理解していて、「ハードな練習を積んでいる」という自信回復を狙っての事なのかもしれない。
 

攻撃陣急ブレーキ

前項で、「柳沢・ディエゴ・ドゥトラの3人に任せておけば確実に1点は取れる」と大見得を切っていたのが、今となっては非常に恥ずかしい。まあ、裏を返せば「その3人が調子を落とせば何も出来ない」という事だ。それにしても3人そろってここまで悪くなるとは思わなかった。

柳沢はよほど状態が悪いのか(故障がある?)、スタメンから外れる事が増えてきている。途中出場の際もキレを欠く。なんとも中断期間がうらめしい。ナビスコではあれほどキレキレだったのに…。

ドゥトラの空回りもひどい状態。彼についても前項で激賞してしまったが、どうやらあの時期がいわゆる確変状態だっただけで、今の状態がノーマルだと考えるべきなのだろうか。中断明けから驚くほど決定力を欠き、チャンスをいくつも潰している。判断の遅れが目立つ。それを取り戻そうという事か、無謀なドリブル勝負を挑み、あっさりとボールを奪われ…。ある意味、今のサンガを象徴するような存在になってしまった。

そしてディエゴ。悪癖が再発した。やたらと下がってボールを受けに行き、シンプルにリターンすればよい所で妙に大回りなターンで時間を使い、右足を使わないためにボールを持つと左へ左へ流れていく。まあ、いつもの事ではあるのだが…。さらに問題なのは、キックの感覚が鈍っているのか、ミドルシュートに得点の気配が微塵も感じられなくなった事。まるで枠に行きそうに無い。同様にセットプレイの精度も落ちている。

ついでに渡邉も不調。特に何でもないトラップやボールコントロールでミスが目立つ。

ただでさえ攻撃戦術を個の力にまるなげしていた上に、ここまで不調が揃うとそりゃあ点は取れない。秋田監督が狙っていると思われる戦術にしても、結局サイドでの個人勝負となるので、渡邉の調子が戻らないと難しい。序盤戦のパスサッカーはもはや取り戻せまい。今のごり押しで偶然にでも1点が取れれば、多少力も抜けるだろうか。

唯一の光明は最近起用が増えてきた中村充孝。攻撃をディエゴ・ドゥトラに任せようとしないという一点のみでも起用に値する。次節はディエゴが出場停止。是非スタメン起用してほしいところ。
 

撤退戦を開始せよ

正直言って、秋田監督に期待することは残留ではない。それは最早、過大な願いだ。求めること、やるべき事は、来期まともに戦えるチームの下準備をする事だ。

まず、ディエゴ・ドゥトラ両名抜きでも攻撃が出来る状態を作っておかなくてはならない。最近ディエゴに中東移籍の噂ありとの報道があったが、おそらくそれはないと思う。むしろ、シーズン終了後の国内移籍の可能性が大きいのではないか。ドゥトラも同様。(あと、カク・テヒも抜けるだろうが、こちらは問題なさそう。)

たとえ引き抜いてくるチームがなかったとしても、個人的にはこの両名とは袂を分かつべきだとすら考える。
選手獲得の仕事を一手に担っていた加藤氏が抜けた事で、来期以降の補強には期待できない。むしろGMから探す大仕事が必要。ただ、幸いにも来期からユースの当たり年が始まり、新人に関しては内部昇格で問題ないだろう。ただ、有力な選手が前に偏っているきらいがあり、足りない所は外国人枠でピンポイントで補強しなければならない。その両方の部分で、ディエゴ・ドゥトラはやっかいな存在になってしまいかねないからだ。

よって、彼らの代わりに成り得る若手をジャンジャン起用して場数を踏ませておく必要がある。最近出番の無い上里でもいいし、2種の伊藤や駒井や久保を使ってもいい。
そもそも、今の3トップはディエゴ・ドゥトラがいてこその形。2トップの準備もしておくべきだ。豊田の復帰もあり得るわけで、なおさらだろう。
このどん底の状態ならばどんなおかしな起用をやっても許される(正確に言うと何をやっても許されないのだから一緒)。いい機会だと捉えて将来の建設を優先すればよい。

他のポジションでも同様だ。とりあえず加藤弘堅はボランチで固定して使うべきだし、GKは児玉に実戦経験を積ませておくべきだろう。
 

今にして思えば、開幕直後の攻撃的スタイルを頑なに続けるべきだった。しかし、ジリ貧へ向かうだけの守備的スタイルへの変遷を、僕自身も「仕方ない」「現実的選択」と認めてしまっていた。監督・選手もおそらくそうなのだろう。ビビったのだ。やはり、弱いのだ。

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