唯紫論

2010/1/9 Saturday

2009〜2010 人事往来、雑感

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おそらく出揃ったので雑感を。
まずは出て行く選手から。
 

OUT

手島和希 (引退)

シジクレイ (→未定)
林丈統 (→千葉)

松井謙弥 (磐田からのレンタル終了→C大阪)

イ・ジョンス (→鹿島)
佐藤勇人 (→千葉)

豊田陽平 (→鳥栖 ※レンタル)
 

全体的に、例年の大ナタに比べると人数面で控えめ。ただし、スタメン格が4人も抜ける事の影響は大きいだろう。

まずは驚きの手島引退。昨年はカップ戦のみの出場で、シーズン後半にはベンチ入りもほとんどなくなっていた。そのあたりから確実に戦力外扱いになるだろうとは予想していたが、まさか引退を決断するとは思わなかった。一流の技術を持ちながらも、度重なる怪我や故障に苦しめられた選手であり、そこもこの早目の引退に結びついているのかも知れない。まだ出来そうという感想を持ってしまうが、本人の決断を尊重するしかないだろう。
今後はアカデミーコーチ就任が決定。子供たちにラインコントロールの蘊奥を叩き込んでいただこう。この寡黙な優男は、性格的に指導者向きなのかどうなのかよく分からないが、とりあえずは小原と共に「やさしいお兄さん」的立場になりそうな感じか。どちらかと言えば頭脳派なプレイヤーだったわけで、素養はあるに違いない。いずれトップチームの監督としてサンガを率いてもらいたいものだ。

シジクレイと林は戦力外扱いでの契約満了。どちらも意外ではあるが、納得もできる判断。監督いわく「若手を起用していきたい為」との事。
シジクレイは年齢的限界という事だろう。走力・俊敏性・持久力のいずれも苦しい状態になってきていた。それでいて圧倒的存在感を有しているだけに、出場するや周囲が頼り切ってしまうという副作用がここ2年の課題だった。それを強制的に断ち切る決断をしたわけだが、正直、不安は大きい。ディエゴの放埓を誰が諌めるのだろう。外国人枠を空ける為には致し方なしか。
林に関しては、宮吉・上里・中村充孝といった若手の特徴とどん被りである事が大きいのだろう。それでも結果を残せていれば話は違ったのだろうが、リーグ戦20試合に先発し1得点1アシストという成績では苦しい。使われ方に問題があったとも言えるのだが…。5年ぶりとなる千葉への復帰が決まった。

松井謙弥も納得というか当然というか。前半戦こそ第2GKとしてベンチ入りしていたが、後半戦は3番手扱い。平井より序列で下ならば、完全での獲得はあり得ず、新人を取ったほうが良いだろう。レンタル期間満了となったが磐田には戻らず、来季からはC大阪に完全移籍となった模様。

イ・ジョンスは鹿島に引っこ抜かれた。オールスターでの活躍が、それを率いたオリベイラ監督の目を引いたという事になるか。守備の要であったし、セットプレイやパワープレイのターゲットとしてチーム内2位タイの得点を取っている。今季残留の立役者の一人であり、非常にダメージは大きい。しかしながら、終盤の雑なプレイぶりを見ているだけに、思いのほかショックは少ない。まあ、何とか言うか、がんばってくれたまえよ。

そして、予想外の佐藤勇人の退団。これにはびっくりした。報道によると、「来季以降のビジョンに疑問を持った」とか「残留で満足しているクラブの姿勢に不満」という事らしい。いやいや、そりゃあなたは降格の経験がないから言えるんであって…まあ、言わんとする事は理解できるのだけれど。千葉に復帰するという噂も出ているが、もしそうなれば京都が何を恐れ何に安堵していたかという事を目の当たりにするのではないだろうか。J2は簡単じゃないよ。
質・量ともに問題のあったポジションだけに離脱によるダメージは計り知れない。ただ、ポジティブにも考えられるのだ。佐藤はイタリアで言うところのクルソーレのタイプであり、あるいは、もっと極端なパスの「受け手」であった。よって、相棒にはパスの「出し手」としての能力と「潰し屋」としての能力、両方が求められる。そういう存在がいてこそ、相乗効果で能力が上がるタイプである。サンガにとっては唯一、シジクレイだけがそれをこなせていたわけだが、それが依存に繋がっていたように思うし、そのシジクレイも退団が決まっている。端的に言えば、佐藤の能力を活かすための補強は困難を極めるという事だ。この佐藤の離脱により大きな役は狙えなくなったが、逆にそこに苦心する必要も無くなった。スペシャルでなくとも無難な補強と、残った手持ちの札とで分相応の形を狙い、一定の所まではすんなり行けるようになった、と考えられる。
※追記 噂どおり千葉への復帰が決定。

豊田のレンタル放出も残念。豊田・金・ハウバートの3名でFWの1枠を争い、柳沢と組んで2トップという形を希望していたのだが、この放出を許したという事は、おそらく来季も1トップが規定路線なのだろう。そうであれば豊田はその能力を発揮しきれず、もっと言えば加藤監督の下ではその能力を発揮できず、錆び付かせぬ為にも外へ、という判断は正しいに違いない。ただ、問題は加藤監督の契約はさらにもう1年残っているという事。つまり今年は良くてもその後が心配だ。あまり幸せな結末は見えてこない。
 

次に加入する選手たち。
 

IN

ドゥトラ (←サントアンドレ)
チエゴ (←グレミオ ※レンタル)

カク・テヒ (←全南)

鈴木慎吾 (←大分)
片岡洋介 (←大宮)

ハウバート・ダン (←愛知学院大学 ※新人)
児玉剛 (←関西大学 ※新人)
福村貴幸 (←大阪桐蔭高校 ※新人)
 

まずは新ブラジル人2名。

やたらと前評判が高いのがドゥトラ。報道で「カカ2世」云々と煽られている。これ、顔が似てるという話ではないかと思うのだが…。ただ、以下のような動画が作られている事を見ると、当地でも『期待の若手』であったことは確かだろう。
 YouTube - Junior Dutra meia atacante
 YouTube - junior dutra
当初報道ではFWとされていたが、サンガのリリースではMFという扱い。動画を見ても確かに本職は中盤の模様。188cm80kgというサイズのわりにドリブルで突っかけるプレイが多い事が見て取れ、「仕掛け」に事欠いていたサンガには適した人材と言える。ただ、気になるのはそこはかとないもっさり感。上動画は2部時代が主になっていると思うのだが、なんだか古き良き南米と言った感じで、要所以外はスローテンポである。そこから、『慌しい』と評されがちなJリーグの中でも特に『慌しい』サンガへの移籍。リズムの違いに戸惑わない事を願う。
後は守備か。SHで使えればすんなり収まる。しかし、ディエゴと同様のタイプであればパズルの組み立てに苦労する事だろう。

もう一人のチエゴは謎。DFのプレイ集動画を作る奇特な人はいないし、グレミオのハイライト等を見ても誰が誰やら。加入の噂段階では右SBという話だったが、どうも本職はCBながらチーム事情で右SB“も”やっていたという感じらしい。なんかどっかで聞いたような話だな。人の出入りの関係からは、シジクレイの後釜としてアンカーで考えられている可能性もある。まあ、加藤監督の事だからどこなりともコンバートするだろうし、とにかく守備の選手だということで。
どうでもいいが、チアゴ、ディエゴと来て、次にチエゴ…ややっこしいなあ。そのうち絶対間違えそう。まあ、外国人に言わすと「百歩譲って田中と中田は許すが、小野と大野が別人とかいい加減にしろ」って感じらしいのでお互い様か。

アジア枠にはカク・テヒ。まさしくイ・ジョンスの後釜と言った感じで、スペック上はほぼ同等。一昨年から昨年にかけて大きな怪我で長期離脱していたようなのだが、復帰後に代表召集されているようだし問題はないのだろう。彼がアンカーか?という噂もあるがよく分からない。何にせよ、大ハズレは考えにくい堅実な補強と言えるのではないか。

鈴木慎吾は今さら説明不要。7シーズンぶりのサンガ復帰。おそらく、昨年に林が担っていた位置に本職を、という事だろう。年齢的に、中村太亮らがモノになるまでのつなぎという感じなのかも知れない。

片岡洋介に関しては、不勉強ながら、印象の薄い選手である。名前と顔は何となく…という程度しか知らない。CBもこなすボランチという事なので、報道では「ポスト勇人」などとされていたが、どちらかといえばシジクレイの役割となるはず。
彼の加入でボランチの構想は見えてきたと思う。既に述べた通り、佐藤勇人の退団でボランチは好きなように作り直せる状態になっていた。現有するボランチの1番手は安藤という事になるが、彼は昨年アンカーもやっていたし、2列目もやっていた。よって、プレイメイク能力のあるパスの「出し手」を補強するか、アンカーに位置する「潰し屋」を補強するか、大きく方向の異なる分岐点でどちらも選択できる状況だった。個人的には前者を希望していたが、加藤監督なら当然、後者を選ぶ。おそらく、安藤・中山・加藤弘堅のグループと片岡・チエゴ・カク・染谷のグループの組み合わせになるのではないか。ディエゴや角田もあるいは加わるか。

新人は大卒2人と高卒1人。
ハウバート・ダンは昨年まで特別指定だった肉体派ストライカー。おそらく金成勇とベンチ入り1枠を争う事になるか。願わくはどちらか1人でもスタメンに食い込んで欲しい所。
児玉剛はユース出身、特別指定だった時期もある準・生え抜きのGK。平井と第2GKの座を争う事になるだろう。
福村貴幸はようやく加わった本職の左SB。ただ、高卒1年目から戦力に数えるのは酷だろう。
 

ちなみに、報道で明らかになった『振られた』選手は森重と西川。大分の選手を引っこ抜くのは、今や非難されるどころかリーグ全体の利益になるという悲しい状況なので、どんどんやればいい。でも、なんでよりによってCBとGKなのかと。森重はアンカーでの狙いだとしても、西川は意図不明。広報戦略的によほど代表選手が欲しかったのだろうか。ここは振られて良かったと素直に言える。
 

全体の配置がどのようになるのかは、監督のコンバート癖もあり、ほとんど予想できない。フォーメーションは3-4-3がしっくり来るんじゃないかという面子なのだが、間違いなく4-2-3-1を継続しようとするだろう。

問題のあった選手構成の偏りは、ほんの少しだけ是正された感はある。しかし、相変わらずSBは手付かずのまま。特に、中谷の離脱している左SBは喫緊の問題のはずなのだが、まさか鈴木慎吾を使うつもりではないだろうし、新人の福村には荷が重かろう。森下か角田か染谷で当たる事になると思われる。右SBにしても、チエゴや西野は今の所よくわからない。今年もいつものごとく4CBを覚悟しておいた方が良いだろう。あるいは、一昨年のように渡邉+3CBという形か。コンバート地獄は今年も続く。

よって、サイド攻撃はやはり望み薄。カウンターはドゥトラ次第だが、昨年中頃の鋭さほどにはならないと思われる。なので、おそらく昨年終盤の形が継続されてしまうのだろう。不恰好なポゼッションからゴリゴリと中央突破を狙うあの形だ。ただし、最後に崩しに行く個の力は多少パワーアップしているだろうし(そこが穴埋めを除いた今回の補強の狙いだろう)、昨年終盤ほど苦しいものにはならないと思う。たぶん。
ドゥトラの加入で全体のゴツさは増しているため、今年もセットプレイは期待できる。また、カク・テヒはセットプレイでの空中戦・得点力が売りらしく、そのあたりでさらに強くなっているかもしれない。

キーマンとなるのは安藤。ポゼッションの中心となり前線に配球する重責を担う。昨年のシジクレイとの組み合わせではあまり良い所がなかった。更なる進化が必要になっている。

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